SDGs (持続可能な開発目標)の取り組みを積極的に行う企業が増える中、「食品ロス」の課題は、食の分野で仕事をする私たち含め、真剣に考え活動していきたいテーマのひとつです。大手食品メーカーでは、環境に優しい社会の実現に向けて、まだ食べられるのに捨ててしまう食品のロス削減に力を入れる試みが広がってきています。
大手食品メーカーの新しい試み
江崎グリコでは、製造過程の途中で欠けたり、割れたりした商品を再利用し、資源として循環する「食品リサイクル・リープ」を構築しています。例えば、同社では、商品にできなかった「ビスコ」を飼料会社で豚の餌の原料にして、成長した豚を使ったメニューを社員食堂で社員に提供しています。また、商品にならないチョコレート菓子「カプリコ」の不揃い品を数量限定で販売。一部欠けているものの、品質や味は変わらず、担当者は「一定の支持が得られており、環境に対する消費者意識が高くなってきている」とコメントしています。
キユーピーの子会社サラダクラブは、パッケージサラダの原料であるキャベツの芯や外葉など未利用部を発酵させて堆肥や飼料の材料にし、契約農家に提供するなど、資源の有効活用・循環に積極的に取り組んでいます。さらに、千切りキャベツ・ミックスサラダは、鮮度保持延長に取組み、業界ではじめて加工日に加え5日間鮮度保持できる技術を確立し、食品ロス削減に注力しています。
また、ミツカンのグループ会社である「ZENB JAPAN」では、普段食べずに捨ててしまう野菜の芯や皮を可能な限り使った野菜スイーツを開発しています。担当者によると「普段捨てられてしまう部位は食物繊維などが豊富」とのことで、その部位を活用しています。
お客様側の変化
Green Diningでも、最近は、シェフサービスをオーダーするお客様から「食べ物は人数分を適正な分量で」「環境に負荷のあるお肉は控えめで、ベジタリアン食をメニューに入れてほしい」「なるべくプラスチックは使わないで」「過剰サービスは不要」といったご要望を頂くことが増えてきました。持続可能な社会の実現に向けて、私たち1人1人ができることは、まだまだ色々ありそうです。
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参考:
本来食べられるのに廃棄されている食品は、2019年農林水産省データによると年間570トン。これは世界全体が援助している食料の量の約1.4倍に相当します。(データ:消費者庁 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/)
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