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飲食店の新たな取り組み 〜居酒屋xコワーキングスペース〜

更新日:2021年10月27日

最近はコロナ禍で一時休業している飲食店が多く見られますが、そんな中、休業中の店舗を有効活用して、新たな取組みを開始している飲食店があります。

新業態へのチャレンジ、社会貢献など、その魅力的な取り組みについて、沖縄県うるま市で「コワーキングスペースと居酒屋|エンタメ酒場NRG(エナジー)」を営む横田さんにお話をお伺いしました。

沖縄のコワーキングスペースと居酒屋 エナジー
コワーキングスペースを併設した店内

エンタメ酒場NRG(エナジー)

開始時期:居酒屋、パーティースペースとして2016年4月開始

店舗概要:収容人数約130名、店内の中央に、出入口、セルフサービスのドリンク・お菓子エリアがあり、左右に席を配置。

店舗は道路に面した建物の2階(1階が駐車場)で壁側は窓が大きくとられ、早い時間は自然光の差し込む明るい空間となっている。

店内いたるところに観葉植物があったり、自由に遊べるようゲームグッズが置かれていたりと、利用者にとって自由で開放的な空間になるよう工夫されている。


Before コロナ:居酒屋

コロナ前の運営

平日は居酒屋として、週末は貸切で結婚式二次会や会社の懇親会などのパーティーがメインでした。繁忙期になると週末は3ヶ月先まで予約が入っているほどたくさんの方に利用頂いていました。

従業員はシェフとホール担当が数名、店舗面積も広く少人数でも効率的に稼働できるよう、いち早くデジタル化を取り入れました。各席には端末を置き、注文〜会計までお客様をお待たせせず、お店側も効率的に動ける仕組みにしました。また貸切や大人数プランについても、WEB申込やクーポン発行も可能、幹事さんの手間を省けるよう使い勝手のよいサービス体系にしていました。


宣伝、広報活動など

SNS、広告、口コミ、知り合いの紹介や所属する青年会議所のつながり等で短期間で当店の認知度があがり、多くの方に来ていただきました。

利用者が多かった理由の一つに、店舗規模、設備、立地があげられると思います。比較的広いスペースで収容人数も多く貸切が可能、フロア全面の他に一部貸切も可能、また、Wi-Fi完備、TVやプロジェクター、デジタルサイネージ、マイク、音響設備も整備していたので、結婚式二次会、会社の懇親会などの需要にマッチしたのだと思います。


このような設備や環境が整った店舗は当時は少なく、お客様にとっては利用勝手が良かったではないかと、オーナーは話します。

沖縄のコワーキングスペースと居酒屋 エンタメ酒場NRG
コロナ前の店内の様子

去年2020年の2月にコロナウイルスが確認されてすぐに、経営が悪化、お客様が急激に減リ、これは長期戦になると直感したそう。


コロナ禍でどう変わったか

すぐに影響が出始め、3月以降のパーティー予約は全部キャンセルとなり、コロナ以前の状態に戻るのは時間がかかると感じました。従業員とも早い段階で相談、貸切スペースとして営業する場合は、ドリンクはセルフサービス、料理は持ち込みという形態をとり、人件費を極力抑える施策に変更し、シェフ、ホール担当が不在でも営業できるようにしました。


現在:コワーキングスペース事業

業態転換のきっかけ

コロナ禍をきっかけに、自分の事業理念について改めて考えました。

「広い空間でできるものはなにか」

「このスペースを交流を目的とした場所にしたい」

居酒屋NRGで大切にしていたものは、酒を売ることでも料理を売ることでもなく、この場所を「人と人がコミュニケーションをとれる場所にしたい」ということで、それが居酒屋でなくてもいい、ということに気づきました。

さらに、自分自身も以前、仕事で気軽に利用できる作業場所をさがしていたこともあり、それらがすべて重なり「コワーキングスペース」という結論に至りました。


事業開始時期・店内設備の変更点など

2020年10月にECショッピングサイト「ツクツク!!」(※理由については後述)を知り、それから2ヶ月後の2020年12月にコワーキング事業をスタートしました。

居酒屋の時から、いち早くデジタル化を進めており、店内も大きく変わることはなく補助金の利用もしていません。

設備については、Wi-Fiを高速に変更、各テーブル席をパーテーションで区切り、コンセント設置しました。また、カフェなどではWeb会議がしづらいという声もあり、電話やZoomなどのWeb会議で使える「吸音パーテーション」も調達し、利用者がより快適に仕事できるようにしました。

吸音パーテーション
吸音パーテーション

「ツクツク」と「AKERUN」

コワーキングスペースを始める上での課題が、広報・集客、管理体制・人件費で、これをクリアにしたのが、ECサイトの「ツクツク」、入退室が無人管理できる「AKERUN」です。この2つが導入できたので、居酒屋オンリーからコワーキングスペース運営へ円滑にシフトすることができました。

「ツクツク」は BtoCのネット通販ですが、今までのECサイトはモノ(物販)の通販サイトが多い中、ツクツク!!はコト(体験・サービス)の販売が充実しているのが特徴的で、コワーキング事業もサービスのウェブチケットとして販売を開始しました。

さらにネット決済、サブスクリプションが可能で会員企業同士がお互いを応援、宣伝してくれる仕組みになっているほか、「ツクツク」のWEBページそのものがSEOの効果が高く、そこに情報をおくだけでたくさんの人の目に留まるということもわかりました。

もう一つの課題である管理体制・人件費については、「AKERUN」を導入することで、人が常駐しなくてもよくなり、管理運用の手間と人件費を省くことができました。


現在の利用状況

昨年2020年12月に開始後、多くの企業、個人の方に利用頂いています。

特に費用をかけて広告や営業活動をしているわけではなく、これまで通り、商工会や青年会議所のつながりを大切にしながら、時々SNSの配信をしています。

今回の事業では「ツクツク」を利用したことの効果が大きく、ツクツク会員の方がNRGを紹介したり、利用者の方が口コミで広めてくれたり、ということでたくさんの方に知ってもらう機会ができています。

現在は、法人、個人を含め、サブスクリプションの月利用がメインですが、ドロップイン利用も多く、会議やセミナーなどで利用されることも多くあります。


今後の飲食店、その他事業について

この先の状況が読めないので、飲食店再開※1については未定です。現在の状況が落ち着き、飲食店の事業が再開できた場合でも、この2つがうまく共存できる方法を考えながら、コワーキングスペースとしての運用を続けていきます。

※1 沖縄県の緊急事態措置が9月末で終了したことにより、10月から週末の短時間のみ飲食を再開しています。


コワーキングスペースの事業については、横展開を検討している、とのこと

自身で店舗を増やすことと、フランチャイズとして他の飲食店にも導入してもらうことを検討中。それは、顧客が減った飲食店のお手伝いをするということと、スペースの利用者も毎回同じ場所でなく、好きなところを都度選んで利用できる、というメリットが共有できるので、提供者・利用者の双方に良い仕組みを作って横展開したい、と意気込んでいました。


インタビュー後に、第2店舗目のプレオープンが決まった模様。

2店舗目も、計画から約2ヶ月でオープンというスピード感あふれる行動力の横田さん。

自身ができることで誰かのために役立つならという姿勢で、多種方面から相談、頼りにされている様子が印象的でした。


今回の店舗はこちら↓


2021年10月25日プレスリリース

沖縄県うるま市にあるコロナで閉店寸前だった沖縄の居酒屋がコワーキングスペースに業態変更後、急成長。


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